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中小企業に「経営計画は不要?」〜経営計画の必要性を確認しよう〜

バーチャル経営塾『2代目社長の生き残り組織再生論』

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中小企業に「経営計画は不要?」〜経営計画の必要性を確認しよう〜


商工会議所の勉強会やコンサルタントの経営セミナーなどに行くと、いたる所で経営計画の作り方を教えています。
それらの勉強会に出席し、一度は経営計画を作ったことがある方がほとんどでしょう。
しかしその時、こうは思いませんでしたか?

「果たして、自社のような中小企業に、本当にこんな経営計画が必要なのだろうか。。」
 今回はそんな方のために、経営計画の基礎知識とその必要性を再確認していきます。

経営計画の種類

経営計画と聞いて思い浮かぶのはどのようなものでしょうか?
実は経営計画ほど、人によってイメージが違うものもありません。
形から考えても、パワーポイントで作られたビジュアライズされたスライドシートを思い浮かべる方もいれば、エクセルで作られた数字やスケジュールベースの表を思い浮かべる方もいるでしょう。

またアメリカなどではワードで書かれた文字主体の経営計画が主流です。
グーグルなどで検索をしても、いろいろな”流派”があり、混乱してしまいますよね。

形は違っても、どれも「経営計画」であることに変わりはありませんが、まずは基礎を知らないと話になりません。
そこでまずは、経営計画の種類について確認しておきましょう。

タイムスパンによって3種類に分かれる

経営計画を策定する時に、まず考えたいのが「タイムスパン」です。
数ヶ月単位の計画を練りたいのか、そうれとも数年・数十年単位で将来像を描きたいのか、見据える年数によって書き込む内容は当然変わってきます。
まずは代表的な3つの種類を確認しましょう。

  • 長期経営計画
  •  中期経営計画
  •  短期経営計画


長期経営計画

「長期」というだけあって、経営計画の中では最も長い期間を考えるのが、長期経営計画です。
別に明確な基準が定められているわけではありませんが、概ね5年~10年程度のタイムスパンで作られます。
長期間に及ぶスケジュールを描くため、どうしても詳細なタスクまで細かく書き込むことはできません。
そのため長期経営計画に書かれる内容は、大きな経営方針や、会社のビジョンなどです。

初めて経営計画を作る時には、この長期経営計画から作ってみることをおすすめします。
というのも、多くの社長は日々の作業に追われているのが普通です。
そんな忙しい状況で細かな計画を立てても、高い抽象度でビジョンを描くことは難しくなります。

一旦、日常業務から少し距離をおいて、静かに集中できる環境で、5年先・10年先の会社のあるべき姿を思い描いてほしいのです。

最終的には、「ビジョン」「ミッション」「経営理念」などの明確な言葉に昇華させていきますが、この時点で形にはこだわらなくても構いません。

  • なぜ社会にこの会社が必要なのか?
  •  会社が10年後、どんな規模になり、どんな役割を果たしているのか?
  •  そのために、自分(社長)は、何を方針として打ち出すのか?


これらを文字にしていくことから始めます。

・SWOT分析

 長期経営計画を策定する際に大いに役立つフレームワークが、「SWOT分析」です。
聞いたことがある方も多いでしょうが、改めて簡単に内容を確認してみます。

「フレームワーク」とは思考ツールの1つで、考えを整理したり、アイデアを出したりするために使われます。
中でもSWOT分析は、会社の将来像をイメージする上で役に立つので、長期経営計画の策定の際によく使われます。

SWOTというのは、次の4つの言葉の頭文字です。

  •  Strength:強み
  •  Weakness:弱み
  •  Opportunity:機会
  •  Threat:脅威

強み

それぞれ、会社の先行きを考える上で重要な要因です。
まず「強み」というのは、自社が他社に比べて優位に競争を勝ち抜くことができる武器のことです。

他社より技術力が高かったり、顧客データを多く抱えていたり、優秀な人材が揃っていることなども立派な強みですね。

強みを考える際、できるだけ客観的な視点を忘れないようにしてください。

特に会社の社長であれば、つい自社の強みを過大評価してしまいがちです。
できれば、自社のことを熟知し客観的な立場の方とディスカッションをしながら、強みを確認してみるのが良い方法です。

弱み

次に「弱み」ですが、これは強みの反対で、自社が他社より劣っている弱点のことです。
弱点を持っていても、必要以上に恐れることはありません。
弱点のない会社などないのですから。

それよりもいかに弱点を克服するか、または強みを伸ばして弱点を補うか、そのような発想でポジティブに受け入れましょう。

強みと同じく、自分で自社の弱みを正確に言える社長は少ないものです。
しかし強みと弱みを正しく理解できていなければ、経営計画は間違ったものになります。
専門家などに相談し、正確な分析を心がけて下さい。

機会と脅威

強みや弱みに比べて聞き慣れない言葉が「機会」でしょう。
これはチャンスや好機と言い換えても問題ありません。
要するに、これから先に起きうる、自社に都合の良い外部環境の変化のことです。

その反対に、近い将来に起きうる、自社に都合の悪い外部環境の変化を「脅威」と呼びます。

同じ事柄も、会社によっては好機になる場合とそうならない場合があります。

例えば「円安」の兆しがある場合、輸出企業にとっては「機会」になりますが、輸入企業にとっては「脅威」になりかねませんよね。

正しく分析をするために

強みや弱みについては、社内のことなので分析も比較的楽ですが、機会や脅威はそう簡単にはいきません。
社会的な出来事や、政治的なニュース、自社の事業に関わる新しい法律や、競合他社の状況、新しい技術など、日頃の情報収集を怠ると、正しく機会と脅威を分析できないでしょう。

長期経営計画を立てるには、自社について客観的に分析ができていることに加え、社外の出来事にも常にアンテナを高く張っておく必要があるのです。

中期経営計画

次に「中期経営計画」を見ていきましょう。
中期経営計画とは、会社が取り組むべき1年間(3年間)の計画を明確にしたものです。
ビジネスマンにとっては「中計」という言葉の方が馴染み深いかも知れませんね。

ある程度の規模を超えた会社なら、おそらくほとんどの会社でこの「中期経営計画」は作られているはずです。

会社によっては「中期経営計画発表会」などと称し、社外の関係者も呼んで大きなイベントにしているところもあります。
ではこの中期経営計画、前節で見てきた「長期経営計画」とは何が違うのでしょうか?

具体的な数字と施策

長期経営計画では、ビジョンや経営方針などの、理念的な部分が重視されました。
しかし中期経営計画では、厳密に「数字」を計画していく必要があります。

というのも、長期経営計画はどちらかと言うと社内向けだったのに対し、中期経営計画は社外向けにも正式な計画として使用する場合が多いためです。

また目的として、長期経営計画の場合は大まかな方向性の確認が重要視されていたのに対し、中期経営計画には日々のタスクや予算の割り振りなど、会社の具体的な業務に反映させることが求められているためです。

何を盛り込むのか?

会社によってまちまちですが、概ね以下のようなものが盛り込まれます。

  • 過去数年間の売上/業績の推移
  • 直近で達成した成果と、見つかった課題
  • 課題解決のための実行スケジュールへの落とし込み
  • 今年1年間の会社が注力するテーマ
  • 今年1年間の売上/業績の目標数値


この他、長期経営計画で策定した、経営理念やビジョン、ミッションなどを書き込むことも一般的です。

過去数年間の売上/業績の推移

過去数年間の業績の推移を確認するのは、現状を知るには欠かせません。
社員が自社の売上を知らないのでは、一体感を持つことは難しいでしょう。

また、たとえ業績が悪かったとしても、正確に記載することが大事です。
現状を正しく理解した上で、初めて正しい取り組みが見えてくるのです。

課題とテーマ

課題が見つかったら、それをタスクに落とし込むことが必要です。
課題解決に向けたタイムスケジュールが見えてこそ、未来の明るい展望が開けるのです。
具体的な取り組みと同時に、テーマを作成することもお忘れなく。

ただ具体的な取り組みをこなすだけでは、強いエネルギーは生まれません。
何か大きな課題に取り組む時には、全社で共有できるテーマ(スローガン)を作っておくことが非常に有効なのです。

今年1年間の売上/業績の目標数値

課題と取り組みができたら、それを積み上げて、ロジカルに数字の予測を作りましょう。
よく「去年の10%増だから~億円で」などという、適当に目標数値を決めている人を見かけますが、これでは未達は火を見るより明らかです。

 どんな行動をすれば、その行動がいくらの数字につながるのか、つまり数字の根拠を1つ1つ検証することが必要です。
その結果、現実的な数字でなおかつ少しだけ背伸びした(ジャック・ウェルチ風に言うと「ストレッチのかかった」)数字になることが理想的です。

そしてその数値を全員が、それこそアルバイトや新入社員まで含めた社員全員が、本気で達成しようと決意することが必要不可欠です。

中期経営計画のすすめ

中期経営計画の意義と作り方はお分かりいただけたかと思います。
長期経営計画とは随分と違って、非常に具体的で緻密な作業だということも合わせてご理解いただけたでしょうか?

この中期経営計画の策定は、経営者にとって自社を理解し、戦略を立てるのに非常に有効です。
もし作成していないという方は、ぜひ取り組んでみて下さいね。

短期経営計画

 長期経営計画、中期経営計画と見てきて、これで十分だと思った方も多いと思います。
たしかに、「あとは頑張る!」的なノリでも大きな問題はないかも知れません。
しかし、せっかく中期経営計画を作ったのなら、ぜひ短期経営計画まで作ってみましょう。

短期経営計画の特徴

まず短期経営計画の特徴は、1年間(時には半年間・四半期)といった短い期間の計画だということです。
これだけ短い期間であれば、長期経営計画で行ったようなSWOT分析は役に立ちません。
強みや弱み、機会や脅威などの環境はほぼ変化しないからです。

中期経営計画では、会社がこれから先の1年間の計画が立てられていましたが、それを各部署・各個人単位の仕事へ落とし込んだ計画が短期経営計画です。
会社の規模が大きい場合は、各部署ごとに作成されることも多いでしょう。

この短期経営計画で必要なのは、役割分担です。会社の目標を達成するためには、各社員が何をなすべきなのかを明確にすることが必要です。
それぞれの部署の役職者を中心に作成するケースも多いようです。そのため社長が全て作成することはまずありません。

短期経営計画のすすめ

短期経営計画を作るには、全社員(特に役職者)の協力と、経営に対する理解が必要とされます。
長期・中期の経営計画を落とし込んで、社員それぞれが計画を達成するために機能させることが必要です。

この短期経営計画まで作成できたら、残すは実行あるのみです。
社員全員が正しい目的意識と高いモチベーションを維持できるよう、会社をマネジメントしていきましょう。

さいごに

経営計画を作るのにも、3つの種類があるというのがお分かりいただけたでしょうか?
「長期経営計画」、「中期経営計画」そして「短期経営計画」、それぞれ役割も作り方も全く異なりました。
まだ経営計画を作ったことがないという方、もしくは経営計画を作ったものの機能していないという方は、ぜひご相談ください。