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なぜ「会社」があるのか?

会社の存在意義を確認しておこう

バーチャル経営塾『2代目社長の生き残り組織再生論』

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なぜ「会社」があるのか?

会社の存在意義を確認しておこう



社員のモチベーションが低い…
 会社で働く意味を理解していない…

もしそう感じることがあれば、その社員さんには会社で働く意味について、深いところから理解してもらう必要があるかも知れません。
ただし会社という組織の説明は、かなり難しい上に複雑です。
会社というのは何なのか、まずは基本的な知識からおさらいしておきましょう。

そもそも会社とは何なのか?

会社とは
”会社法により設立された,営利を目的とする社団法人”。

法律的にはその通りなのですが、これでは会社の存在意義も働く意味も分かりませんね。

(※会社法には株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種類が規定されているのですが、その違いについて細かな説明は省きます。ここではあくまでも「会社の存在意義」と「働く理由」を確認することを目的としていきます)

会社の成り立ち

社会科の授業のようになりますが、最低限の知識として会社がいつ、どのようにして誕生したのかを確認しておくと良いでしょう。

私達は、あまりにも当たり前のこととして会社で働き、給料をもらって生活をしています。
そのことを所与のものとして受け入れている方が多いでしょうが、会社という組織で働くことは決して当たり前のことではありません。
むしろ人間の歴史を紐解いてみても、わずか百年余りの出来事なのです。

世界最古の会社

日本には、世界最古の会社としてギネスブックにも認定されいてる金剛組(578年創業)を始めとして、数百年~千数百年前から続く超老舗が数多く存在します。

しかし、それらはあくまで例外で、江戸時代以前にはほぼ身分や仕事は生まれながらに決定されていました。
近代的な意味での「会社」というのは、明治時代以降に定着したと考えてよいでしょう。

アダム・スミスの唱えた「分業」=労働集約

『道徳感情論』や、資本主義の礎となる思想書『資本論』で有名なアダム・スミス。
彼は、経済発展の仕組みを「分業」による全体効率の引き上げに求めました。

資本論には針職人の例が出ています。
1人の針職人が1日で生産できる針の数は、せいぜい数十本程度でしょう。
しかし、金属を折り曲げるもの、先を尖らせる者などで作業を細分化し、それぞれに特化した作業を行うことで、1日に数百本もの針の生産が可能になるはずです。

アダム・スミスの唱えたこうした「分業」の仕組みは、会社の存在意義を示しています。要するに「1人よりも会社で働く方が効率が良い」ということです。

知識集約

さきほどの例で取り上げたように、生産者が一ヶ所の工場などに集まって、役割分担して作業を進める方式は「労働集約的」と呼ばれます。
確かにこれは生産性の向上に重要なことですが、同じように重要なのが「知識」です。

針の尖らせ方を例にとっても、1人1人の職人さんが別々の作業場で生産していた時には、やり方もバラバラだったはずです。
しかし人が集まって作業することで、より効率的な作業方法を見つけ、共有し、また改善させていくことが可能になります。
このような効率向上の方法を「知識集約的」と呼びます。

特に近年では、パソコン性能やWebの発達により、一ヶ所に集まらずに仕事をする会社も増えています。
彼らは、皆で一緒に作業をするわけではないですが、高い専門性と生産性を発揮しています。

資本集約

そもそも、1人の生産者が思いついたところで、工場を作り設備を整え材料を買い込むことはできないでしょう。
1人の職人の数年~数十年分の資金が必要なはずです。
工場を作ることでいくら収益が見込めたところで、先立つものがなければ空想に過ぎません。

そこで必要になるのが「出資」です。
日本では出資者と経営者が同じ場合が多いですが、基本的な考え方として、工場を作る費用を出す「出資者」と、工場を経営する「企業家」は別物です。

これを「所有と経営の分離」などと呼びますが、これができるようになったことが、経済の発展の最大の要因とも言われています。

資本主義の現代では、将来のリターンを元手に銀行からお金を借りて経営を営むことができます。
元々針職人が1円も貯金を持っていなくても、銀行に借りる(預金残高に1000万円と書き込む)ことで1,000万円というお金が世の中に「生まれます」。

同じようにパン職人が、パン工房を作るために銀行から1,000万円を借りることができれば、世の中に合計2,000万円というお金(この場合は預金)が生まれるのです。

資本主義

詐欺か魔法のように感じた方もいると思います。
しかしこれは、私達の社会の真実です。
マンションを購入する時にも、100万円の手元資金さえあれば、数千万円という価格のマンションに住むことが可能なのです。

銀行は、理屈の上ではいくらでもお金を無限に生み出すことができます。
この仕組みが「資本主義」なのです。
(実際には、BIS規制によって自己資本比率の上限が定められています。)

自由競争

将来の収益を担保にしてお金を借りて工場を建てる。
すると世の中に便利な商品が生産される。
もちろん事業に失敗して借り入れたお金を返済できない人もいるでしょう。

しかし自由競争には、アダム・スミスの「見えざる手」が働きます。
需要と供給が市場を通じてバランス(価格の調整か数量の調整)されることで、より良い商品を効率的に生産する会社が生き残り、そうでない会社が撤退するという自然界の弱肉強食の摂理に似たダイナミズムが起きます。

その結果、社会にとって有益な商品が、より安価で大量に供給され、私達の生活は日に日に良くなっていくわけです。

もし資本主義でなかったら?

ここでまた思考実験をしてみましょう。
例えば針職人が工場を作ろうと思っても、お金がないので工場を作ることはできません。
資本主義の現代であれば、銀行からお金を借りるか出資者からの投資を求めることができます。

工場を作ることで針(商品)の生産が始まり、大量に作ることでより安く提供されます。
しかし銀行からお金を借りることができなければ、工場を作ることは無理です。
ですので社会には安くて大量の針は供給されません。人々の生活水準は低いままになります。

実際、資本主義が発展した18世紀より以前、人間の社会には「経済発展」と呼べるほどの変化はほとんどありませんでした。
思想的にはアダム・スミスの『資本論』をはじめとした資本主義、そして技術面では蒸気機関の発明による産業革命が起きた18世紀半ばから、一気に世界の経済発展が進んだのです。

話が広くなりましたが、ここまでをまとめます。
 ・人間が集まって分業をすることで生産性を上げることができる。
 ・その人間の集まりを「会社」と呼ぶ。
 ・資本主義によって、誰もがお金を借りて「会社」を設立して、事業を営むことができるようになった。
 ・自由競争の下、「会社」がより安く、より良い製品を生産することで、社会は発展してきた。

それぞれの会社の存在意義

会社という組織の存在意義を確認したところで、続いて「あなたの会社」の存在意義を確かめてみましょう。
実は、以外にも簡単に知ることが可能なんです。

定款を見てみよう

社長以外でなかなか見る機会がないのが、会社の「登記簿」でしょう。
しかしこの登記簿、実は誰でも取得することができます。

登記所に行き申請するだけで、自分の会社の登記簿を閲覧することができるんです。
その中に必ず「定款」というものがあります。

定款とは、簡単に言うと「会社の設立目的」です。
あなたの会社を設立した時に、創業社長が作った設立目的が書かれているはずです。

とはいえ、会社の登記は単なる行政手続きに過ぎません。
定款を見ても、行う事業を羅列してあるのみで、詳細なことは書かれていないというケースが多いでしょう。

経営理念を確認しよう

そういう場合は、会社の経営理念を見てみることがおすすめです。
定款を確認するのは難しいですが、経営理念なら比較的簡単に知ることができます。

もし会社にホームページがあるなら、「会社概要」などに書かれていることも多いです。
会社の社長の席の後ろの壁に、額縁に入って飾られているかもしれません。

また「経営理念」という言葉ではなく、「ミッション」や「ビジョン」などのカタカナ言葉で書かれているケースも多いでしょう。
経営理念がなおざりにされている会社もありますが、もし自分の働いている会社の存在意義を知りたければ、やはり経営理念に立ち返ることが基本でしょう。

まとめ

なぜ会社という組織があるのか?という根源的な問いから、あなたの会社の存在意義の確認の仕方まで見てきました。
もしあなたの会社の社員さんの中に「会社の存在意義が分からない」という方がいれば、ここで解説した手順で説明してあげてください。

粘り強く説明することで、きっと納得してもらえるでしょう。

しかし、もし社員さんのモチベーションの低下が顕著な場合は、働く意義を見失っているのかも知れません。
会社の意識改革を検討している方は、一度ご相談ください。