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会社にビジョンは必要なのか?

ビジョンの正しい作り方とは

バーチャル経営塾『2代目社長の生き残り組織再生論』

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会社にビジョンは必要なのか?

ビジョンの正しい作り方とは



タイトルにある「会社にビジョンは必要なのか?」という問いに対して、多くの人は「必要」と答えるでしょう。

しかし、なぜビジョンが必要なのかを答えられる人は少ないのではないでしょうか。
ましてや、ビジョンの作成方法について、正しい説明を聞いた経験はほとんどありません。

今回は、会社にとってのビジョンの必要性と、ビジョンの正しい作り方を解説します。
会社の規模や業種に関係なく役立つノウハウを書いていますので、ぜひよく読んで勉強してみてください。

そもそもビジョンとは何なのか?

ビジョンとは、「会社の将来のあるべき姿」を説明した言葉のことです。

視覚的か?

よくある間違いとして、ビジョンを文章や数字で作成してしまう人が目立ちます。
売上や収益を数字で表してしまっては、それはただの目標であってビジョンとは呼びません。

ビジョン(VISION)とは、元々の言葉の意味からして「視覚的」なものです。
ですので、ビジョンは「書く」とは言わず「描く」と言われます。
しかし、だからこそビジョンを表現するのは非常に難しく、ましてやビジョンを社員と共有して、現実に落とし込むことは困難を極めます。

ミッションとの違い

これもよくある疑問なのですが、「ビジョンとミッションの違いが分からない」という方が大勢います。端的に言うと

・ビジョンは「こうなりたい」という自発的な動機
・ミッションは「こうしなければならない」という他発的な動機

というような説明がなされることがあります。
別の言葉で説明すると、ミッションには「義務」が設定されるのに対し、ビジョンには「希望」が設定されるということです。

エネルギー源としてのビジョン

もちろん、どちらも有意義なものなのですが、見方を変えるとミッションとビジョンは2つで1セットだとも言えます。
仮にある会社にミッションだけが存在するとします。
その会社には、年間の売上目標もあるでしょう。
しかしビジョンがないので、究極的にどこを目指しているのか分かりません。

義務ややるべきタスクはありますが、その会社には「なぜやらなきゃいけないのか」という動機がないのです。

「人はパンのみにて生くるものに非ず」(マタイ福音書四章)

人間は何らかの「イデオロギー/哲学」がないとエネルギッシュに生きることが難しい生き物です。
働く動機・エネルギーの根源を、ビジョンが提供してくれるのです。

ビジョンの必要性

判断の拠り所

ビジョンは、目の前の具体的な判断に根拠を与えてくれます。
イオンのビジョンを例にとって考えてみましょう。

"企業理念(お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。)のもと、
 絶えず革新し続ける企業集団として、「お客さま第一」を実践してまいります。"

出典:イオン公式サイト

このビジョンを掲げている限り、保守的な言動は誤りであり、常に革新を続けることが正しいということになります。

日々の仕事の中には、実は無数の不確実な要素があります。
商品開発においても、出店計画においても、はたまた採用の判断やレジ袋のデザインまで、AかBのどちらが絶対に正しいとは言い切れない、そんな難しい判断も無数にあるでしょう。

そのような時にビジョンが浸透している会社では、大きな方向性を間違うことなく判断することができるのです。
逆を言えば、目の前の具体的な行動に何も影響しないようなビジョンは絵に描いた餅です。

信頼の醸成

前節で述べたのは、ビジョンの社内に対する効果です。
ここでは、社外に対する効果を考えてみましょう。

例えばビジョンなどを何も持たない会社と、ビジョン(やミッション)を高らかに掲げた会社があるとします。
商品は似通っていて、価格もほぼ同じだとします。
その時にどちらから買いたいでしょうか?

多くの方は、ビジョンを掲げている会社からだと思います。

要するに信頼を獲得して、売上につながる効果が期待できるのです。
しかし、本当にそんな効果があるのでしょうか?

それを確認する最も簡単な方法は「アンケート調査」です。
購入いただいたお客様に、
「なぜ他社ではなく弊社の商品を購入されたのですか?」
と聞いてみましょう。

「価格」や「スペック」、「書いやすさ」の他に、「御社の理念がよかったから」などという結果があるはずです。
信頼が購入の決め手になったというのは、聞いてみないと分かりませんが、意外にもかなりの割合がそのような理由で購入を決めています。

また、人材の採用にもビジョンの作成は有効です。
優秀な人材であればあるほど、その会社のビジョンや経営者の姿勢を確認しています。
ビジョンを作成したら、それをホームページや商品説明資料などを通じて、積極的に社外へ周知させていきましょう。

ビジョンのつくり方

具体的なビジョン作りのプロセスは、会社の状況に合わせて行います。
決まりきったプロセスというのはありません。

例えば1人で起業したばかりの会社と、3代続く老舗の呉服店では、ビジョンの策定過程は全く違ったものになります。
しかしその中でも共通したプロセスがあります。
それが「なぜ?」を繰り返し問うということです。

なぜなぜ分析

「なぜ?」を繰り返すことを、トヨタでは「なぜなぜ分析」などと呼びますが、難しく考えることは一切ありません。
仕事の中で、ある行動をとる理由を考えた時に、「なぜなのか?」を自問してみるだけです。

以下の流れを参考にしてみてください。

「なぜこの商品(例:身体に優しい軟水)を開発するのか」
 ▼
 「自分が別の商品で身体を壊したことがあるから」
 ▼
 「日本人に合わない硬度の高い水を知らずに飲んだから」
 ▼
 「硬度の説明が書いてなかったから」
 ▼
 「硬水を飲んだらお腹を壊す日本人が多いことが知られていないから」

普通はこれほど単純ではないと思いますが、「なぜ?」を突き詰めていければ、必ずこのように根本的な問いにたどり着くはずです。
この例を進めてみると、あるいは下記のようなビジョンが浮かぶかも知れません。

「日本で売られているミネラルウォーターの全てに硬度を示す表記がついている。
 知らずに硬水を飲んでお腹を壊す日本人は誰もいない。」

ひとまず、これをビジョンと呼んでも差し支えないでしょう。

今回は1人で行いましたが、もちろん大きな組織になってくると、社員たちとディスカッションしながら深めていくのが理想的です。
というのも、できるだけ多くの人に共感してもらえるようなビジョンの方がより望ましいからです。

ミッションのつくり方

そしてビジョンができたら、それを達成させる上で自分たちが担う責任(ミッション)を明確化します。
(逆にミッションから始める方法もありますが、今回はビジョンから策定する方法のみ解説します)

ミッションも会社によって様々ですが、最低限「ターゲット」と「提供するモノ/サービス」を入れましょう。

・ターゲットは「日本人」
・提供するものは「身体に優しい軟水」

あとはそれを明快な文章にするだけです。


 「我々は身体に優しい軟水の普及を通して日本人のお腹に貢献する」

上記のミッションも、私が仮で作成したものですが、とりあえずミッションとしての最低限の機能は持ち合わせています。

さいごに

今回のコラムでは、かなり具体的な作業にまで突っ込んだ解説をしましたが、いかがでしたか?
ビジョンやミッションと聞くと、何か大仰なイメージがあった方も多いと思いますが、自分でも作れそうな気がしてきたのではないでしょうか。

もし「ビジョン作りに興味が湧いた」、「自社のビジョンを見直したい」、「ビジョンの浸透化を図りたい」という方は、個別にご質問をお受けしますので、お気軽にご連絡ください。